接吻

口付けは角度を変えて何回もやってくる。混ざる吐息は熱い。その熱さは中に侵食し、体を熱くさせ、思考を鈍くさせる。
「んっ」
舌が入ってきた。息苦しくなり離れようとするが、頭に当てられた手がそれを許さない。飲み込めない唾液が溢れ、垂れる。
中の肉を舌が舐め、歯をなぞられ、舌に重ねられる。舌が押し付けられる度に、他人の生温い体温を感じ、何故か違和感を覚える。そんな感覚も慣れてしまったが。
唇が離れたと思ったら、また、重ねられる。噛み付くような荒々しいものかと思えば、触れた瞬間に優しくなる。
しかし、とても息苦しい。
確保出来ているのは、ほんの少しの酸素ぐらいで。
酸素が回っていないのか、熱さのせいで逆上せているのか、どっちも原因なのか、頭がぼんやりとしてきた。
長い口付けが終わり、酸素の確保を始める。すると、垂れていた唾液を舐められた。
「ハアッ……ッ……」
息をゆっくり整え、言葉を発する。
「今日は……しませんからね」
「わ、かってる」
そう言っていても余裕がないのがよく分かる。手は体を這っていた。ゆっくりと、形を確かめるような動き。太ももにかかるところで手を叩き払う。
舌先が耳に触れる。それから逃れるように離れると、名残惜しそうな瞳。
「では」
今日は甘やかさない。こちらが妥協すると、付け上がってしまうから。
「おやすみなさい」
「あのさ……」
肩を捕まれる。
「本当に駄目か?」
哀願するような声色。肩にあった手が首をなぞり、頬に触れる。
「駄目ですよ。キスだけで我慢する、と言ったのは誰ですか」
今日はしない、と言うと、それで我慢すると言ったのはガイ。
毎日相手にするのは、こちらにも限界がある。一回り以上、歳が上なのだ。溜まるものは溜まるが、若い彼よりは少ない。抱かれる方の身体の負担は結構、残るもので。
毎日のように、抱き潰されるかと思う程、ガイは抱き続ける。その余りある体力はどこから来ているのか、驚く。魔物と闘い、町まで歩いていると言うのに。
「そうだけどさ」
「処理なら自分でして下さいね」
頬に添えられている手を剥ぎ取り、突き放す。
触れなければ、良かったのに。
触れる前に忠告したのだ。
勝手に求めてるのはガイだというのに。
「なあ……」
伸ばしてくる手を無視し、ベッドに潜り込む。
ベッドから離れようとしないガイは、色々と言ってきたが、全て流す。
「貴方のベッドは隣でしょう」
一睨みすると、諦めたのか、ようやく隣へと移動した。

次に求められた時が怖いな、と苦笑しつつ、ジェイドは目を閉じ、微睡みに身を任せた。





後書き
ここまでなら、大丈夫ですよね?
駄目なら移動させますが
ただの描写練習です
これだけでも、色々と削られます
だから短いんです
いつかはこの上を書くつもりですが、うわあああ
ガイは若いからしょうがない
相手もジェイドしかいないし
しかし、生殺しって相当辛いんじゃ


2011/05/09


BacK