頑張っている君へ

横に座っているドラゴンキッドの体が揺れている。
見れば、目をこすっていた。眠そうだ。
バーナビーには、その理由に心当たりがあった。
真夜中に事件があり、その現場には、彼女もかけつけていた。なぜ、いるのかと聞けば、寝つけられず、起きていたという。
未成年である彼女は、真夜中に発生した事件には出てこなくても良いとされている。ブルーローズも同じだ。ヒーローアカデミーを卒業し、ヒーローになった折紙サイクロンは、例外らしいが。
大きなあくびをするドラゴンキッド。目尻に涙が溜まっている。
「ドラゴンキッドさん」
「ん?何、バーナビーさん」
目を開けようと、目をこすりながら、返事。
「少し、眠ったらいかがですか」
「大丈夫だよー」
そう言っていても、目は開いていない。
見ていれば、すぐに船をこぎ始める。
「ドラゴンキッドさん」
肩を叩くと、目を覚ます。
「だ、だいじょ……わ!」
彼女の肩に手を回し、こちらに寄せて体を倒す。
頭が膝に乗る。状況を把握できていないドラゴンキッドの目は、一点を見つめている。
「固くてすみません。少し汗臭いかもしれませんが」
頭が動き、彼女の目が自分を捉えた。
「寝てください」
彼女はおかしそうに笑い出す。笑われることをしただろうかと、首を傾げる。
「膝枕されるとは、思ってなくて」
やはり、男に膝枕など嫌だったろうか。彼女も年頃の女の子だ。
「すみません、やはり嫌ですよね」
「そんなことないよ」
そう言われ、微笑むドラゴンキッド。
「甘えちゃおうかなー」
「僕でいいなら、存分に甘えてください」
両親と離れ離れで暮らし、甘えることも少ないだろう。甘えられる時には、甘えればいい。子供の特権だ。
「じゃあ、ちょっとだけ」
そうドラゴンキッドは言うと、目を閉じる。
すぐに寝息をたて始めた。
膝にある温もりに、そっと手を当てる。
「よく頑張っていますよ、ホァンさん」
頭を撫でれば、少し身じろぎしたので、すぐに頭から手を離す。
ドラゴンキッドの寝顔を見ながら、バーナビーは微笑んだ。

そして、バーナビーのトレーニングウェアが涎まみれになるのは、もう少し時間が経ってからになる。





後書き
逆膝枕兎龍
お兄ちゃんしているバーナビーが書きたかったのです
バーナビーさんがホァンちゃんを頑張ってるなーなでなでしてあげたいなーって思っていると良いです


2013/01/26


BacK