It's a secret

「ユーリ、これはいったい、どういうことだい!?」
ソファーに座っているユーリに、キースが必死な顔で顔の前に突き出してきたのは、自分が子供たちの質問に答えていた記事だった。
なぜ、彼がそれを持っているのか。子供用の新聞で、発行部数も少ないと聞いていたのだが。
「どういうこと、とは?」
そのインタビューで、キースもといスカイハイの名前は一切出していない。のせる記事は自分も最終確認して、何も問題はなかった。
「これだよ!ヒーローたちとプライヴェートも一切、関わりがないないんて……!」
彼が指し示すのは、ヒーローたちと親しいのかという質問。これが一番、多かったと聞いている。だから、似た質問が続いている。
「馬鹿正直に答えるわけないでしょう」
スカイハイが持っているように、その記事が誰の目に触れるか分からないのに、ヒーローと親しくしているなどと答えたら、格好の的だ。
仕事上の立場を分かっているのかと、事実無根の疑いをかけられたり、非難されるに決まっている。
「でも、二回も言う必要はないじゃないか!そして、ないよ!」
一度否定しているのだから、きっぱりと否定しなければ、矛盾してしまうだろう。しかも、火がないところに煙はたたないのだから。
「では、この関係が終わってもいいと?」
「うっ……」
キースは顔を曇らせ、口を閉じる。
彼とは恋人同士だ。他の者には内密にという条件で始めた関係。この関係を知っているのは、自分のそばでふせているジョンくらいだろう。
「嫌だ。そして、嫌だよ」
悲しそうな顔で、キースは下ろした記事を握りつぶす。
彼から告白され、断ったにも関わらず、彼は自分が折れるまで、諦めなかったのだ。
この関係に甘んじて、ルナティックということも彼には、ばれてしまったが、この関係が壊れることはなく。
だから、少し心地良いと思っている自分もいて。
口を開いたが、私も――なんて言えずに、名前を呼び、彼を慰めるためにも、腕を広げる。
彼はゆっくり近づいてくると、体を自分に預けてくる。
触れる体温を逃がさないように、背に手を回す。
「あなたと私だけが知っていればいいんですよ」
誰かに認められなければ、恋人ではないなど、馬鹿げたことではないか。二人が愛しあっていれば、それで。
「そう、だね」
どことなく不満そうな声だった。
キースは、抱きしめるのをやめたので、自分も背から手を離す。
「ユーリ」
目を閉じ、顔が近づいてくる。
自分も目を閉じ、それを受け入れた。
伝わってくる愛情に幸せを感じながら。





後書き
映画のカードから
二回も否定するなんて……と邪推した結果がコレだよ!


2014/03/26


BacK