ずっとそばにいて


学校も終わり、帰ろうと荷物をを持ち、部屋を出た。
「あ、ジョジョ!」
名を呼ばれ、ジョナサンは足を止めた。
「なんだい?」
呼んだ人物は、友達だった。
「あのさ……この前、お前と一緒にいた金髪の女性のことなんだけど」
金髪の女性と言われ、思い当たる人は一人しかいない。
「ディオかい?」
先日、一緒にでかけていた。それを見られていたのかもしれない。
「そう、その子だよ!どういう関係なんだよ?」
茶化したように聞いてくる。
「彼女とは兄弟なんだ」
「本当かぁ?恋人じゃあないのか?」
笑って言ったためか、疑うような目。
「違うよ」
否定をすると、彼は懐から出したものを差し出してくる。
「じゃあこれ、彼女に渡してくれないか?」
目の前には手紙。
「……恋文かい?」
そう問えば、彼は顔を赤くする。
「言うなよ。まあ、よろしく頼む」
それを押し付けると、手を振り、彼は行ってしまった。
手紙を見る。白い封筒。角の方には、彼の名が書かれていた。

「ディオ」
彼女の部屋に入れば、本を閉じ、こちらを確認する。
「なんだ?」
友人から預かった手紙を渡す。
「またか」
そう言うと、彼女は封も開けずに破っていく。ただの紙くずに変わってしまった。
「読んであげなよ」
いつものことなので、驚くこともなくなった。
最初の時は、驚いて、怒ったが、そんな義理はないと一蹴されてしまった。
そう、どうしようと彼女の自由なのだ。
「陳腐な言葉の羅列を読むくらいなら、恋愛小説を読む方がマシだ」
散々になってしまった手紙を彼女は自分へと押し付ける。
「貴様も断れ」
いちいち持ってくるなと。
「断っても、無駄なんだよ」
「知るか。出ていけ」
また、本を開き、彼女は本を読み始める。何を読んでいるのか気になり、表紙を凝視していたが、彼女が睨みつけてきたので、早々、部屋を出ていくことにした。

手紙は暖炉で燃やした。処理をするのはいつも自分だ。
破かれた手紙を相手に返す訳にもいかず、そのまま捨てるのも抵抗があった。
本当は、初めてディオに恋文を届けた時、気が気ではなかった。
それを読み、彼女が男性と付き合うことになったらと。
隣にいる彼女が遠くに行ってしまうことが、恐ろしくて。
手紙を破り捨てた時に、自分は内心、安心していた。
読まないことに良心が痛み、怒ったが、その裏では喜んでいた。
手紙を届け、破り捨てられる。それを見て自分は安心するのだ。
彼女は気づいていないだろうが、自分は好意を持っている。
誰にも渡したくはない。
彼女と一緒にいるのは自分だ。
どれだけ、嫌われていようとも。
買い物にも一人で行くというので、自分がついていったのだ。彼女に変な虫がつかないよう。
屋敷の者以外に、彼女を見せたくないのが本音だ。
自分がこんなにも独占欲が強い人間とは知らなかった。
この気持ちは隠しておく。
歪んだ愛情だと自覚はしている。
この感情はお互いを傷つけることにしかならない。

友人にディオの返事を伝えると、落ち込んでいた。
ごめんと伝えると、お前が謝るなと笑って言う。
謝罪の意味は通じていないだろう。

ごめん、彼女は誰にも渡すわけにはいかないから。





後書き
独占欲の強いジョナサンっていいなと思いまして
ディオは直接的に孤独にしてましたが、ジョナサンは思うだけ
でも、優しい人ほど狂うと怖いですからね
ヤンデレジョナサンでも書こうかな


2013/05/12


BacK