とろけるような朝
ディオは目を覚まし、朝だと分かったが、そばにあるぬくもりのせいで、またうとうとし始める。
ジョナサンを抱いて、彼の隣で朝を迎えたのは初めてだった。彼と体を重ねた後はすぐに自分の部屋に戻って――。
そこで、無理矢理、目を開けた。ここがジョナサンの部屋ではなく、自分の部屋だということを思い出したからだ。
誰かが来るまえにジョナサンを起こさなければと、彼を抱きしめている手をとき、背に回るジョナサンの腕から逃れるように起き上がった。
そうすれば、横で寝ているジョナサンは身動ぎをして、うっすらと目を開け、こちらに身を寄せると、目を閉じていき、夢へと飛び立とうとしていた。
「おい」
自分も眠いのだ。起きろと頬を軽くつねると、彼は顔を向こうにそらす。体を揺さぶってみるが、呻くような声をあげただけだった。
「ジョジョ――」
頭に手をのせ、寝息を立て始めた彼の首に噛みつく。あたたかい肌の感触が歯に伝わる。
「!」
ジョナサンの体が跳ねたのが分かった。
「え……ディオ……!?」
ようやく覚醒したらしいが、動こうとする体を上から押さえつけたまま、歯をもっと食い込ませる。このまま、この皮の下の血管さえも食い破ることもできるだろう。
「ディオ……痛いっ……!」
口を放し、上体をあげ、彼を見下ろせば、少し怯えたような顔でこちらを見ていた。
「おはよう、ジョジョ」
くすくすと笑い、彼に挨拶をする。彼を起すためだけにしたことだ。
「手荒い、起こしかた……だね……」
ジョナサンは歯形がついている場所を手でなでる。
「きさまが起きないからだ。さっさと起きて――」
手が伸びてきて、頬に添えられる。そのまま、彼の方に
顔が引き寄せられ、唇が重なる。
「おはよう、ディオ」
すぐに唇を離したジョナサンは微笑む。突然の行動に少し驚いていた。昨日から異様に積極的だ。
「こうやって起こしてくれたほうが嬉しいんだけど」
起き上がる彼は少し恥ずかしそうに笑う。
「じゃあ、おまえが先に起きて、おれを起こしてくれ」
「……がんばるよ」
ジョナサンは服を探しているようだったが、彼が着ていたものは雨に濡れていたはずだ。乾いているとは思っていない。
クローゼットに向かい、自分の分と彼の分も持ってジョナサンのもとに戻る。
「着ろ」
彼に服を渡し、服を着ていったが、彼は着る様子がない。
「ディオ」
彼はこちらに腕を広げる。
「寒い」
服を着ればいいものをと思いつつ、ジョナサンの腕の中へと入っていく。触れる肌が布越しでもあたたかいのが分かる。
「早く服を着ろ」
「もうちょっと、このままで」
身を任せてきたので、その体をしっかりと抱きとめる。
「……もう少しだけだぞ」
渋々という声を出したが、嬉しそうな笑い声とわかった
という返事が耳に届き、自分を抱きしめる腕の力が強くなった。