それはナイフで抉るように

ディオは何かあたたかいものに触れ、目を覚ました。
目の前に暗い髪色が見え、女と寝たのかと、その髪をすいたが、すぐに髪は指の間からなくなった。
「……?」
女にしては髪が短い。だんだん、はっきりとしていく視界には、よく見知った横顔があった。
「!」
昨夜のことを思い出す。自分はジョナサンを抱いたのだ。からかって口づけをして、言葉で弄んで。
そんなことをするのは、ご無沙汰で酒にも酔っていた。
彼が抵抗をしてくるなら、すぐにやめようと思ったが、彼は存外、大人しく、頬を赤らめながら、快楽に耐えるその表情にひかれるものがあった。
組み伏せたいという衝動にかられ、そのまましてやったのだ。
ローションで中をほぐせば、自分のを受け入れた。
苦しそうで痛みで悶える姿に嗜虐心が煽られ、もっと見たいと思った。
彼の中は案外、具合がよく、抱いてきた女とも変わりがなかった。彼の中に射精し、ジョナサンを女扱いし、気分がとても良かったのを覚えている。

だから、ここにジョナサンがいるのだ。
ディオは起き上がり、横で寝ている彼を見る。掛け布団は下半身にしか、かかっておらず、来ているバスローブも少しはだけて胸が見えている。
そのままでは風邪をひくのではないか――そう思ったが、体が妙に丈夫な彼が風邪をひくはずもない。
露出している胸をなでる。触れる体温はあたたかい。
「んっ……」
耳に届いた声に昨夜のことを思い出す。触れた肉の感触、汗ばんだ肌に彼の赤らめた頬。口の中の熱さや唾液の味。中の肉の熱さや締め付けられてやってくる快楽。
バスローブをゆっくりと引っ張り、もっと胸を露出させた。顔を近づけ、唇を押しつけて吸いついた。
「っ、ん……」
感じているような声が聞こえ、体が動いたため、唇を離し、彼を見た。起きたのかと思ったが、彼は目を閉じたままだ。少し様子を見ていたが、起きる気配はない。
また彼の体に顔を近づける。今度は首に。また吸いつき、赤い痣を残した。
昨夜のことがそのキスマークと共に体に刻み込めばいいと思った。
その痣に指で触れると、そこは熱く感じられた。
「ジョジョ」
名前を呼んでみるが、起きない。
そろそろ使用人が来てしまう。裸で兄弟がベッドに寝ていたら、嫌でも疑われてしまうだろう。
「起きろ、このマヌケ」
体を揺さぶると、唸りながら、ジョナサンはようやく目を開けた。
「お……お……はよう……」
自分を見て昨夜のことを思い出したのか、彼は顔を赤くする。
「ああ、おはよう」
起き上がった彼は何か言いたそうだったが、無視をする。
散らばっている彼の服を回収してやり、押しつけた。
「さっさと部屋に戻ってくれ」
彼は服を抱え、すぐに部屋を出ていった。

いつ、自分が付けたものを見つけるのだろう。
忘れさせはしない。その痕が消えるまで、このディオに抱かれたことを思い出すといい。

ジョナサンは朝食のときに不自然なくらい自分を意識していた。
そんな彼を見てディオは内心、満足げに満面の笑みを浮かべるのだった。





後書き
シンデレラグレイをお買い上げの方につけていたおまけなので、内容がつながっておりまーす
ディオ視点があまりなかったので、書いてみた覚えが
ジョナサン支配できて嬉しいだろうなー、ディオは


2018/08/01


BacK